あたしを知らないキミへ
ほんの少し、ほんのちょびっとだけ切ない気持ちになったかもしれないけど、安心・・ホッとしている自分がいた。
2人が幸せそうで本当に良かった。

あたしは、心からそう思えたんだ。

「ちょ、恵美加?!」
「うん?」
「泣いてる・・」
「え?!」

斗真に言われて、自分の目をこすったら涙が零れ落ちていた。

「恵美加、大丈夫?」
心配そうに斗真が、あたしの顔を覗き込んでくる。
「なんでもないよ。ほら、見て。目にゴミが入っただけだから」
そう言って、あるはずもないゴミを取ったふりをして、あたしは目を思いっきりこすった。

「よかった・・。俺、なんかしたのかと思った」
そう言って斗真は、優しく微笑んだ。
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