あたしを知らないキミへ
そんな斗真を見て、あたしは愛しいと思った。

これからどんなことがあろうと、斗真と二人で乗り越えていきたい、あたしは心からそう思えた。

こんなどうしようもないあたしを見つけてくれて、好きになってくれて恋してくれてありがとう。
こんな言葉は恥ずかしくて言えないけど、いつかはちゃんと言いたい。

あたしは、斗真が握ってくれている手を、もう一度強く握り返した。
斗真は何も言わず同じように強く握り返してくれた。

そのことが、あたしにはどうしようもないくらい嬉しかったんだ。


それから、時は足早に過ぎていって、あたしは無事に大学を卒業した。
大学4年間なんて、すごく長いかと思っていたけど、実際はそうでもなかった。

これからは、正真正銘の社会人になる。
大人の仲間入りって、正直大変そうだけど、なんとかやっていけたらいい。

大学を卒業して2日が経った時、朋美から誘いのメールが来ていて、あたしは久しぶりに地元に遊びに行くことになった。
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