フレテフレテ enter into







「たぶん、それなんだよな。俺が沙絵を信じて愛す自信が無くなったのは…」





「…それって?私の態度?」




「態度と言うか…価値観の違いだよ。沙絵は俺に良く見てもらおうとして自分磨きしてくれてただろ?ネイルや洋服やメイク…メイクなんか夜寝る直前まで落とさないし、俺が朝起きたら全部完璧にキレイにしてるし。お前のジャージの姿なんか付き合ってから見たことなんか無かったよ。。」






当たり前じゃない。
努力しなきゃ、斗真がいなくなっちゃいそうだもの…ずっと愛され続けたかったんだもの。






「…それが俺には辛かった。沙絵に信じてもらってないんだなと思ったし、家が1番ホッとする場所のはずなのに常に窮屈だった。下手でも良い、毎日じゃなくて良い、一緒に作ってもいいから温かい手作りの飯が食いたかった。お互いジャージ着て休みの日は家でゴロゴロ何もせずに寝たり話したり、無駄なような暖かい日を過ごしたかった。」




「…私がやっていた事と斗真が望んでいたことは違うってことね。」



「どっちが悪い訳じゃないんだよ。価値観が違うんだよ。沙絵がやっていたように妻にはいつも綺麗で、家事は二の次でも良いって考えの男だっている。だから沙絵は間違ってた訳じゃない。」

















私はただ、黙って斗真の話を聞いた。









「それに沙絵、謝ってくれたけどじゃあ、家事をこれからやります、オシャレはしません!なんて言ってもやっぱりそれは違うし、むしろ俺の為とは言え1つの事を追求してるのは、リスペクト出来る部分だよ。それを潰してまで俺と一緒に居る事が幸せ?」




「幸せも何も当たり前じゃない!私は斗真と離れたくないし、離婚はヤダ。その為ならオシャレなんかしないわよ!妻として家のこともちゃんとやるわ!アナタが家が1番ホッとする場所だって言ってくれるように!」




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