今夜23時、ベリーズカフェで。
「あの・・・・・。」
「ユキ大丈夫か・・?
もう大丈夫だからね。」
「・・・・・・・・・・・・。」
「ユキ・・?」
「・・・・・あの・・・・
“ユキ”って・・誰ですか・・?
あなたは・・誰ですか・・?」
「「「「!!!?」」」」
素朴な疑問を投げかけただけなのに、その場にいる人達が驚愕の表情を浮かべた。
私・・何か変な事・・言ったの・・?
「志村さん。少し起き上がれますか?」
看護師さんに手伝って貰って、
横になっていた体を起こして・・
私の目の前にお医者さんが座る。
号泣していた年配男性と女性はその後ろで、不安げな視線を私に向けてくる。
「志村さん。ご自分の名前が“志村ユキ”という自覚はありますか?」
「・・・・・・・いえ・・?」
「では、あなたのお名前を私に教えて頂けますか?」
「・・・・・・・・・・・・?」
「・・・・・・・・・。」
「あれ・・・私・・
・・自分の名前・・・・。」
「思い出せませんか?」
「・・・・・・はい。」
「では、お父さんとお母さんのお名前は分かりますか?」
「・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・分かりません・・。」
「・・分かりました。では最後に、今日が何月何日何曜日か分かりますか?」
「・・えっと・・・10月9日・・
“水曜日”・・だと思います・・。」
「志村さん、今日は10月12日の“土曜日”です。」
「・・・・はぁ・・。」