今夜23時、ベリーズカフェで。
「志村さんはお友達が運転する車で遊びに出掛けた帰り、【交通事故】に遭って、
意識不明の重体の状態でここに搬送されてきました。ここは茨城総合病院です。」
「・・そうなんですか・・。」
「明日の朝、心療外科の医師に改めてカウンセリングを実施させますので、
今日のところはもうお休みください。」
「・・・・・・はい・・。」
「とにかく一命を取り留めて良かった。
何かあったらこちらのナースコールを押してくださいね。」
お医者さんが、後ろに控えていた年配の男女を伴って部屋を出て行く。
看護師さんは私の体中につけられていた器具を一つ一つ外してくれて・・
「志村さん。辛いと思うけど・・一緒に頑張ろうね。」
最後に励ましのような言葉をかけて、シンとした空気と共に再び私一人だけになった。
“水曜日”・・・。
“お友達”・・・。
“車”・・・。
“交通事故”・・・。
“茨城”・・・。
・・・・・・“お友達”・・・。
「・・ウッ・・!」
さっきのお医者さんとの会話で出てきた言葉と自分の記憶を重ねようとするけど・・
何も思い出せない・・。
思い出そうとすると上下左右から圧迫される頭痛が一層激しくなる。
“・・・ユキ・・・”
「・・・・!?」
“私たち・・・”
「・・・誰・・?」
“心・・・”
ドリルのような痛みが走った直後、一瞬・・自分と同い歳ぐらいの女の子の顔が浮かんだ。
こっちを見て・・私の目を見て何か口を動かしてる。
「・・・誰なの・・・?」
頭の痛みに耐えられなくなったからなのか、
今自分が置かれている状況が全く分からないからなのか、
気がつけば・・
大粒の涙が目から溢れていた。