今夜23時、ベリーズカフェで。


<・・本当にごめん・・・・>


「あの・・どうかお気になさらないでください・・。」


<必ず突き止めてみせるから。
カスミさんの為にも、君の為にも。>


「はい・・ありがとうございます。」


<タイミング悪い事に昨夜また新しい事故が発生しちゃったから、

そっちの処理が終わったら再開する。>


「よろしくお願いします・・。」



遠く離れた場所にいても、茨城県警 交通課の村田さんは親切に電話をくれた。


私たちを煽った犯人はまだ見つけられないようだったけど・・

カスミと私の為に必死になってくれる・・・それだけで嬉しかった・・。



「ユキ・・ホントに一人で大丈夫か・・?」


「うん・・。あ、タクシー代ありがとね。
バイト復帰したらちゃんと返すから。」


「そんな事気にする必要ないんだよ。

先生達に、父さんと母さんの分もよろしく伝えてね。」


「うん・・じゃあ行ってきます。」



記憶が戻ったからこそ、やらなければいけない大事な事が2つ残っていた。


事故発生当時、必死に蘇生作業してくれて・・

この命を救ってくれた茨城総合病院の先生・看護師の皆さん。


特に・・手術を執刀してくれた外科の山崎先生と・・


“逆行性健忘”を発症していた時も、

毎日のように病室を訪れてくれて、温かい言葉をかけてくれた心療外科の三島先生。




「あの・・今日は一日よろしくお願いします。」


「おう。まずは“八事墓地”からで大丈夫かな?」


「はい・・お願いします。」


今日一日お世話になるタクシー運転手さんに行き先を告げて、発進してもらう。


先生達へのお礼・・でも・・
茨城へ向かう前に・・もう1つ・・。


ごめんねカスミ・・。
遅くなったけど・・今から行くよ。



















< 144 / 224 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop