今夜23時、ベリーズカフェで。
病院の入り口を出ると、
前から強い突風が吹いた。
目に溜まっていた涙は後ろへ吹き飛ばされて・・
視界がしっかりと、運転席で居眠りするタクシー運転手さんを捉える。
「お待たせしました。」
「お・・おぉお帰り。」
「・・・・・・・・・・。」
「じゃあご自宅まで戻るかね。」
「あの運転手さん・・・。」
「うん?」
「“不惑の樹”って・・ご存知ですか?」
「あぁ~茨城に住んでる友達から聞いた事あるねぇ。」
「場所・・分かりますか・・?」
「おう。寄ってくかい?」
カスミ・・・・。
あの時はちょっと恥ずかしくて、
寸劇の力に頼っちゃったけど・・
今度はちゃんと・・混じり気の無い・・
志村ユキの言葉として言うからね。
不惑の樹の前で・・自分の言葉で、
もう一度あの時と同じ事を・・・
一生変わることの無い不惑の気持ちを誓うからね・・・・・心友よ・・・。
第3話 完