今夜23時、ベリーズカフェで。
本を閉じて席を立ち上がったマキさんが、ティーカップを取り出して蛇口をひねる。
たったそれだけの行為なのに・・この人の所作というかなんというか・・。
一回り以上歳が離れてるとは思えないほど・・いつも見とれてしまう。
「・・どうぞ・・・。」
「頂きます。」
「・・・・・・・・・・・・・。」
「・・ん?・・・・マキさん?」
「・・そうね・・・。
怒りと憎しみと狂気の眼光を纏った少年が、10年経って素敵に成長した事と・・
今では“風”を呼ぶ“扇”として働いてくれる事に感謝して・・
これだけは教えてあげる・・。」
・・なんだ・・・?
マキさんがレジカウンターの下の棚を開けてそこから・・・・!?
「・・・・・・・・・・。」
「本物ですか・・?」
そこから・・黒光りする“拳銃”を取りだして、撃鉄を上げた。
「・・・・・・・・・・。」
俺へと突きつけられる銃口・・。
引き金に指を引っ掛けたマキさんが少し微笑んだ後、ゆっくりトリガーを引・・・
“スコッ!”
「・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・びっくりした・・?」
「ちょっとだけ・・
ちびりそうになりました。」
ただのエアガンなのに・・この人が持つと本物に見えてくるから不思議だ・・。