今夜23時、ベリーズカフェで。


「ここのお店は初めて?」


「・・初めて。」


「私で良かったの?」


「誰でもいい。」


「え・・じゃあフリーで入れば良かったのに。」


「鈴木。」


「・・?」


「鈴木ダイスケ。本名。」


「・・あ、そうなんだ。
ごめんなさい。てっきり偽名かと。」


「君は?」


「え・・。」


「マリアは源氏名でしょ?本名は?」


「・・・ごめんなさい。
本名はちょっと・・。」


「・・あっそう。」



声のトーンがずっと一定というか・・
すごく淡々としてる。


これは90分が長く感じるパターンかもしれない。




「可愛い。」


「え・・・。」


「今まで会った風俗嬢の中で一番可愛い。」


「ありがと~!」


「マリアはどうして風俗嬢になった?」


「・・うーん・・・。
お金が欲しいからかな。」


「マリアはどうしてお金が欲しい?」


「生きてく為かな。」


「マリアは何の為に生きる?」


「・・・めっちゃ聞いてくるね。」



相変わらず声のトーンは変わらない。

ずっと私の目を見つめて・・
淡々と質問が続く。


なんとなくちょっと危ない人かもと思った。


リョウさんやニッシーにはシングルマザーだと話した事はあるけど、

この鈴木さんには・・“教えたくない”と本能がそう思った。


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