今夜23時、ベリーズカフェで。
あの日以来、私が流す涙の理由は“哀しい”、“辛い”、“悔しい”だけだった。
だから・・あの日以来初めて・・
“嬉しい”感情が目から溢れてきた。
「あ!もうこんな時間・・。
じゃあ俺もう行くね。」
「あの大川さん・・。」
「うん?」
「ご迷惑じゃなかったら近くまで乗せていってくれませんか?」
「え・・今から出掛けるの?」
「どうしても・・この街を出る前にご挨拶しておきたい人がいて・・。」
「でもこんな時間だけど・・
相手の人、大丈夫なの?」
「きっと・・居てくれると思います。」
「・・分かった。じゃあ行こうか。」
もしかしたら開いていないかもしれない。
いきなり行ってご迷惑かもしれない。
でも・・・扉は開くような気がする。
穏やかな視線を私に向けてくれて、
優しさに包まれた声で『元気でね・・エミカ・・』って言ってくれるような気がする。