今夜23時、ベリーズカフェで。


「マリア。」


「・・・・?」


「10年振りだ。」


「え・・イったのが?」


「他の女では反応しなかった。」


「・・・・・・・・・・・。」


「マリアは一番可愛い。
10年前とは比にならない。」


「ありがとう・・。」


「マリアはお金の為に働いているんだね?」


「うん・・一応。」


「じゃあ俺と結婚しよう。」


「・・・・・はい?」


「俺はお金を持っている。」


「でも“働いていない”ってさっき・・。」


「親の金は俺の金で、親は金持ちだ。
車も自分のを持ってる。」


「・・・・・・・・・・・・・。」


「マリア、俺と結婚してほしい。
俺は君が好きだ。」


「ありがとう・・。でもまだ会ったばかりだし私は鈴木さんの事何も知らないし・・。」


「じゃあ俺の事を教えれば結婚してくれるのか?」


「いやそういう意味じゃないけど・・。」


「俺の名前は鈴木ダイスケ。本名だ。
信じられないならあとで免許証を見せる。」


「や、やめよ鈴木さん。
こういう場なんだからさ。」




「マリアは俺と結婚したくないのか?」


「・・・・・ごめんなさい。」


「そうか。」




それからは一言も喋らなくなってしまった。


残り40分がこんなにも長く感じたのは初めてだった。


結局10分前のタイマーと同時にお風呂へ向かう鈴木さんの後ろについて、

シャワーを浴びて服を着て・・いつも最後は「またね」と言うけど、

私も無言のまま一緒に部屋を出た。


















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