今夜23時、ベリーズカフェで。
――――――
「今日もがっぽがっぽだったねマリアちゃん。」
「ありがとうございます。」
「このままの勢いだったら今月の売上、セイラちゃんを抜いてNo.1になるかもね。」
「あの・・No.1になったらちゃんと特別ボーナスも出るんですか?」
「もちろん!期待しておいてよ。
お子さんとお母さんと一緒にかっぱ寿司でも食ってくるといいよ!」
「私はスシローのほうが好きかな。」
「マジ?俺は圧倒的にかっぱ・・
・・・・・・・・・・???」
「・・・?大川さん?」
「・・・ごめんマリアちゃん。
コンビニ寄ってもいい?」
「え・・はい。」
夜の暗さと、朝の眩しさが入り乱れる時間。
今日の仕事を終えて家まで大川さんに送ってもらっていた途中、
ウィンカーを出して道路沿いにあったコンビニの駐車場にミニバンが停まる。
「・・・・・・・・・・・・・。」
「・・?トイレですか大川さん?」
「・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・。」
「・・・マリアちゃん。
今日ちょっと遠回りさせて。」
「どうしたんですか?」
「サマンサ出た時に後ろに尾いてた車が、今パッとルームミラー見たらまだ後ろにいた。」
「え・・・・。」
「もう大丈夫。通り過ぎたっぽいけど・・一応迂回するわ。」
「尾行してきたって事ですか?」
「どうだろうね・・。
たまたまかもしれないけど、こういう仕事柄、念には念を入れないとね。」
「・・あの・・その車に乗ってた人の顔は見ましたか?」
「いや・・結構車間距離空けてたから顔までは分かんなかった。」
誰だろう・・・。
この日以来、大川さんがより慎重に送り迎えをしてくれるようになった。
大らかなトーンであれやこれやと私と雑談してくれる一方で、
ミラーで後方確認する目つきは鋭くて・・
ちょっとだけ怖かった。