今夜23時、ベリーズカフェで。


「ごめんマリアちゃん。」


「オーナー大丈夫でしたか?」


「いやそれが・・田中のバカが事故ったらしくて・・ホントごめん・・・。」


「・・私は大丈夫ですよ・・。

送迎がないとみんな困っちゃうから・・行ってください。」


「会計する時は、最初にお通し持ってきたクルミちゃんに言っておいてくれるかな。

あの子も元Agehaのキャストで、
俺の事はよく知ってるから。」


「分かりました・・。」


「タクシー代も含めて俺にツケといてくれるから。

マリアちゃんは一銭も払っちゃダメだよ。
じゃあごめん、また電話する。」




慌ただしく店を出た大川さん。

途端に・・今自分が座っているテーブルに静寂が包まれた気がした。


でも満席の店内のあちこちから“ガハハ!”“キャハハ!”という笑い声が聞こえてくる。


「・・・・・・・・・・・・・。」


・・・・・みんな・・・・
何がそんなに面白いの・・?


耳を塞いだとしても聞こえてくるボリュームに耐えられなくなって、

座敷席とテーブル席の突き当たりにあったトイレに駆け込んだ。



何十日ぶりかにお腹が満たされて、
何年ぶりかにアルコールが脳に回った。


満席の店内のあちこちから、
“ガハハ!”“キャハハ!”という笑い声。


「・・・・・・・・・・・・・。」

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