今夜23時、ベリーズカフェで。


―――――― 


「・・・お待たせしました・・。」


「ありがとうございます・・。」


「・・・・・・・・・・・・・。」


「・・・・・・・・・・。」


「・・?・・沖田さん・・?」


差し出されたカフェラテ。

受け皿とカップの間に、
名刺が挟まっていた。


「・・店長の沖田です・・。」


「・・・・・・・・・・・・・。」


「・・ご一緒してもいいですか・・?」


「え・・はい・・。」


沖田さんが私の向かいに座ると、
また本を取り出して読み始める。


書店のブックカバーに包まれていたから何を読んでいるのか分からなかったけど・・

ううん・・だからこそ・・

「何を読んでるんですか・・?」


もうすぐ死ぬのに・・。

このラテを飲み終わって、
家に帰ったら死ぬのに・・。

でも知らず知らずのうちに、
沖田さんが放つ雰囲気に惹き込まれていた。



「・・今は・・伊坂幸太郎の・・
アイネクライネナハトムジークを・・。」


「小説ですか・・?」


「・・友人に勧められたから読んでるけど・・。」


「・・けど・・?」


「・・・・・素敵な作品ね・・。」


「・・・・・・・・・・・・・・・。」

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