今夜23時、ベリーズカフェで。


私にとっての幸運は、
お母さんがお酒を飲まない事。


だから・・“ガールズバーで働いている”という【嘘】をついても、

“じゃあ1回顔を出すわ”とならない。



私にとっての幸運は、
こうやって自宅から遠く離れていても、

大川さんという専属ドライバーをお店がつけてくれた事。


だから・・知り合いやママ友の旦那さん達に会うことは絶対にない。




「ほい到着。じゃあマリアちゃん、
今日もはりきってヨロシク~!」


「はい。行ってきます。」


大川さんが運転するミニバンに乗り込んだ瞬間、桜井エミカは“マリア”に変わる。


大川さんが運転するミニバンが、

ラブホテル“サマンサ”に到着した瞬間、
桜井エミカの自我は消える。


・・受付でカードキーを貰ってエレベーターに乗り込んだ瞬間・・


“デリバリーヘルス嬢”としての夜が始まる。







< 9 / 224 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop