今夜23時、ベリーズカフェで。
私にとっての幸運は、
お母さんがお酒を飲まない事。
だから・・“ガールズバーで働いている”という【嘘】をついても、
“じゃあ1回顔を出すわ”とならない。
私にとっての幸運は、
こうやって自宅から遠く離れていても、
大川さんという専属ドライバーをお店がつけてくれた事。
だから・・知り合いやママ友の旦那さん達に会うことは絶対にない。
「ほい到着。じゃあマリアちゃん、
今日もはりきってヨロシク~!」
「はい。行ってきます。」
大川さんが運転するミニバンに乗り込んだ瞬間、桜井エミカは“マリア”に変わる。
大川さんが運転するミニバンが、
ラブホテル“サマンサ”に到着した瞬間、
桜井エミカの自我は消える。
・・受付でカードキーを貰ってエレベーターに乗り込んだ瞬間・・
“デリバリーヘルス嬢”としての夜が始まる。