あなたの願い、叶えましょう。 ー ただしその代償は・・・ ー



それから咲也の要求は、どんどん増えていった。


携帯は毎日チェックさせること。


他の男や友達と連絡をとっていないかの確認をするために。


咲也にだけしか話してはいけない。


咲也にだけしか笑ってはいけない。


咲也にだけしか…………。




「ねぇ咲也、咲也は、他の友達とかとうまくいってるの?」


「友達?そんなの必要ないよ。夏美さえいてくれれば、俺はそれでいいんだ。他には何もいらない。」




ふいに聞いた質問。


返ってきたのは、冷血な感情が混じった答え。




よく見ると、周りからの羨むような視線も、嫉妬のような目も……なくなっていた。


まるであたしと咲也だけが、いないかのような……。




「咲也……、最近周りの様子……変だと思わない?」


「ん?何が?俺はただ、「夏美に近寄ったりしたら、殺すから」って、言っただけだよ」


「なっ……なにそれ!?」


「俺たちの二人の世界を守るためには、必要なことだろ?これからも、俺たちの世界を崩されないために、夏美に近寄ろうとした者がいれば俺が守るよ。だって夏美は……俺だけのものだから。夏美だって、俺だけいれば幸せだろ?」




冷たい……笑顔。




…………狂ってる。


なんなのこれ。


こんなの、咲也じゃない。


咲也はこんなことしない!


咲也は優しくて、友達思いで……気遣いができて……信頼できる、みんなの憧れの存在。


咲也はこんな……誰かを傷つけるようなこと……絶対にしない!


この人は……


この人は誰なの!?




……そうだ……!


あの願いの叶うお店……あそこに行こう!


何かわかるかもしれない。


もう一度、あのお店に……!


< 20 / 25 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop