あなたの願い、叶えましょう。 ー ただしその代償は・・・ ー
いつも通り、夜まで咲也と一緒にいて別れたあと、あたしは急いで願いの叶うお店に駆けつけた。
まだやってるのかな……お願い、開いていて……!!
ガチャ…………
お店の前に着き、あたしは迷わずドアノブに手をかけ、ゆっくりと扉を開いた。
……よかった、まだやってた……。
ほっとした気持ちで中に入ると、銀さんがまるであたしが来るのを予測していたかのように出迎えてくれた。
「いらっしゃい」
「あ……あのっ……」
「願い、叶ったでしょう?」
にこりと笑みを浮かべて、あたしにそう聞く銀さん。
「そ、そのことなんですけどっ」
「何か問題があったかしら?」
「あの……彼が……咲也が……おかしくなっちゃって……」
「付き合えたんでしょう?」
「それはそうっ……なんですけどっ……」
「ならよかったじゃない」
「でも!なんだか様子が変で……」
「どう変なの?」
「すごく束縛的で……あたしの意見全部無視で……親友との約束や家族とのことだって、そっちより自分を優先しろって感じで……。それに、みんなにあたしに関わるなってこと言ってるみたいだし、周りもあたしなんか居ないみたいな素振りで……。こんなことになっても咲也は全くおかしく思ってないし……あんなの、咲也じゃないんです。」
「彼じゃない?」
「はい……咲也は、もっと優しくて気遣いができて、頼りになって信頼の熱い人なの……あんな無理やりで自分勝手な咲也は、咲也じゃない!」
「……そう。」
「お願いです、どうにかして!咲也を元に戻して!あたしは……前の咲也が好きだったのに……お願いです銀さ……」
ビクッ!
銀さんの方に視線をやると、あたしの肩が跳ねるようにしてビクついた。
それはとても……背筋が凍りつくほどの……恐怖を感じたから。
「願いは叶えたわ。」
冷たくて、恐ろしく鋭い視線。
銀さんは、コツ、コツとヒールの音を響かせながらあたしに近づいてくる。