あなたの願い、叶えましょう。 ー ただしその代償は・・・ ー
確かこの辺……だよね?
駅前の薄暗い路地……たぶんここだ。
クラスメイトが話していた通り、普通だったら見逃して通り過ぎているような場所に路地がある。
その路地は向こう側が見えないくらい長くて、暗闇がずっと続いているような細い道。
たしかに、不気味な雰囲気が漂っている。
だけどここで引き返してしまえば、何も変わらないまま。
あたしは勇気を出して、一歩を暗闇に踏み出した。
空気が、一瞬で変わった気がした。
あんなにざわざわしていた街並みから、たった一歩でその場所からものすごく離れたような……全然違う世界に来てしまったみたい。
誰もいない……。
ここを少し歩いて左手に……真っ黒な扉があるはず。
あたしは一歩、また一歩と恐る恐る路地の奥に進んでいく。
すると。
「…………あっ……た。」
真っ黒な扉が、そこには立ちはだかっていた。
独特な雰囲気で、本当に怪しい感じ。
この扉を開ければ、二度と出られないんじゃないかってくらい重い空気だ。
それでもあたしは、願いを叶えたい一心でドアノブに手をかける。
ガ……チャ……