幼な妻だって一生懸命なんです!
体は彼の腕の中。
お義母様が用意してくれたベージュのワンピースの背中を彼の手が滑り落ちる。
ワンピースは胸の下から切り返しがあり、上部は繊細なレース柄が上品で、なおかつ華やかだ。
スカート部分はゆったりとギャザーが入っていてとても楽に着られる。
私のことを考えながら選んで頂いたと思うと嬉しい。
お義母様のその好意を申し訳なく思うような彼のいたずら。
そのスカートの裾をたくし上げ、彼の手は太ももを撫でた。
「ひゃ!」
「ん?」
わざととぼける彼の甘い声。
ホテル内の移動だからと、タキシードから黒のジャケットとスラックスに着替えていた彼がジャケットを脱ぎ捨てる。インナーに着ている白いTシャツを私はギュッと握った。
「美波も長瀬なんだから、俺のことは長瀬じゃなくて何て呼ぶの?」
わざとだ。
わざと私が躊躇していたことを言わせようとしている。
職場での公私混同を避けるために今まで要さんと呼ぶことを避けていた。
しかし結婚した今、プライベートで長瀬さんと呼ぶのは、やはり違和感がある。
「ん?」
答えられない私を面白がって、太ももに這わす手が上へ上へとあがってくる。
「やっ!」
「いや?名前を呼ぶことが?それとも…」
さらに手の動きが際どいラインをなぞる。
嫌なわけがない。
そんなことは、長瀬さんが一番わかっているはずだ。
嫌か?なんて聞いていながら、その手は止まる気配がない。
恥ずかしくて、胸がくすぐったくて、それでいて体は震えるような喜びを感じている。
私を求めてくれることが嬉しかった。
長瀬さんのものになることをこれまでどんなに望んできたことか。
「要さん、嫌じゃ、ないです」
要さんの胸に顔を埋めながら、小さく呟くと彼の手の動きが止まる。
あれ?私、何か間違えた?