幼な妻だって一生懸命なんです!
その過去をぼんやりと思い出すと、足は勝手に祖母の家に向かっていた。
祖母の家は私の実家・府中から近い立川だった。
都心からだと約一時間、電車に乗ると到着する駅。
駅からはバスで十分程度の場所に住んでいる。
仕事から帰宅して要さんを二時間ほど待った。
その後、時間など気にせずに出てきてしまったが、今は二十二時を過ぎている。
祖母になんと行って良いかわからず、連絡をせずに来てしまっていた。
「寝ちゃってるかな」
バスを降り、祖母の家が見えてくると、一軒家の玄関には明かりが灯されている。
いつも家族と遊びに行くと集まる居間にも。
その灯りが見えた時、ホッとして涙がボロボロと溢れてきた。
「おばあちゃま」
家に向かって走り出す。
こんな私は要さんたちから見たら、まだまだ子供だって思われていても仕方ない。
彼にふさわしい相手だっていたはずなのに。
例えば一ノ瀬由香さんとか。
事情があって私を選んだことを情けなく申し訳なく思い始めた。
おそるおそる玄関のチャイムを鳴らす。
夜遅い時間にも関わらず、祖母はすぐに玄関先まで出てきてくれた。
「みーちゃん?」
「はい」
私だと確かめると、すぐにドアは開いた。
「寒かったでしょ?入りなさい」
どうしたの?そんな言葉が飛んでくると思ったのに、普段と変わりなく私を迎え入れてくれた。