幼な妻だって一生懸命なんです!
「まぁ、すみません」
「謝ることじゃ無いわ。みーちゃんが学生の頃に手を出したわけじゃ無いでしょ」
「あ、手なんて出してませんよ、里子さん、何言い出すんですか!約束は守ったでしょう」
「ははは、そうみたいね」
約束?
「結婚するまで、その、手は出しませんでしたよ、里子さんと約束しましたから」
そんな約束をしていたなんて。
おばあちゃまの、ばか!
「いきなり来て、みーちゃんとお付き合いしたいからなんて言われたら驚くわよ。だから少し意地悪して本気かどうか確かめたかったの」
「わかってますよ、美波は若いし、心配されることもわかってます」
「よく我慢できたわね」
ふふふと笑う祖母がなんだか違う人を見ているようだった。
これが私の祖母なのって。
「それくらい、美波を手に入れるなら。里子さんのところに来たのは社長のとんでもない提案が里子さんの耳に入る前に、伝えたかったんです」
「総太郎さんに言われたからじゃないって?」
「はい」
「いつからみーちゃんを?」
「初めて見たのは小学生の頃です。僕は大学生の頃にSweet Tea Timeでバイトをしていたので」
えーーーー?!
全く記憶にない。というか、小学生だったからか。
「伯父さんが里子さんが来たら教えてくれと言うので」
報告をしていたのは要さんだったのか。
「それから里子さんが美波を連れてくるのは知っていました」
「当時から目をつけていたの?」
「な、何をおっしゃってるんですか、犯罪じゃないですか、それだと」
「そうよね」
祖母はからかっているのだろう、けたけたと笑っている。
「僕はその後、そのまま高山百貨店に就職して、その後も里子さんを見かけると伯父に一応報告していました」
「まぁ、ストーカーね」
おばあちゃま、私も社長に同じことを言ってしまいました。
「伯父の初恋の相手が里子さんだと知っていましたし、母とも仲が良かったのも聞いていました」
「ああ、葉子ちゃんね。葉子ちゃんと親戚になれたのは嬉しいわ」
社長と親戚になれたことは?と言う疑問を問うことは今はできない。
私は盗み聞き中なのだから。