幼な妻だって一生懸命なんです!
「高校生になって美波が一人でも店に来るようになったのを知っていました。成長した彼女を見て驚きました。母が以前に見せてくれた里子さんの若い頃の写真とそっくりだったんです。それを伯父に話したら、伯父はすぐに美波を見に行きました」
「暇なのね、社長って」
「そこはなんとも言えませんが…。あの時、報告した自分を後悔しましたよ。美波を見て帰って来た伯父が言い出した言葉を聞いて愕然としました」
「樹くんと結婚させるって言ったんだっけ?」
「はい、どうしても里子さんと親戚関係になりたい、里子さんとそっくりな孫が見たい、樹と結婚させるって」
「葉子ちゃんたちもいたんでしょう、その時」
「親族会議とかなんとか言って、樹と僕と僕の両親と本宅に呼ばれ何事かと思ったら、そんなことを言い出したんです」
「葉子ちゃんも愕然としていたみたいね」
「兄さん、バカなの?と呆れてものも言えなかったようです」
「肝心な樹くんは?」
「顔を真っ赤にして怒り狂っていました。勝手に決めるなと」
「美波が気に入らなかったのね」
「それは違います、いや、その…」
「何?」
「僕が、美波を気に入ってることを知っていたから」
「要くん、彼女いたわよね」
「彼女、ですか?」
「葉子ちゃんが要くんはデートってよく言ってたわよ」
「はっ?母さん、そんなことまで言ってたんですか?」
「だって私たち幼馴染ですもの。総太郎さんより仲がいいのよ」
「はぁ」
「で、彼女は何人いたの?」
おばあちゃま、それは立ち入った話では?
と思いながらも私の耳はダンボになっていた。
彼の女性遍歴は噂でしか聞いたことがない。
いつも連れている女性が違うと言う。
そして先日発覚したのは、由香さんと言う元カノの存在。
十歳以上離れた男性なのだから、そう言う話があるのは仕方がないと思っていてもとこかモヤモヤする。