幼な妻だって一生懸命なんです!
「まぁ、それはさておき…」
祖母はそこは深く聞くことをやめてしまった。
私のモヤモヤは解消されることなく、次の話題へと移っていく。
「美波に本気になったのはいつから?」
「樹と結婚させると言っても、美波は当時、高校生でその時は馬鹿げてると周囲は思っていたんです。しかし、美波がうちに就職して来た。それがわかった社長は今度は大真面目に、いや、最初から大真面目だったとは思うのですが、時期が来たと今度は本格的に話を進めようとしたんです。僕がいないところで、樹だけに話をしたそうです。その時、後継者になりたければ、美波と結婚しろととんでもない条件をつけて」
「本当にとんでもないことを」
「それを樹から聞いた時、美波が樹と結婚したことを想像したら、いたたまれなくなりました」
「自分の気持ちに気がついた?」
「出会った頃は子供だったし、つい最近まで高校生だったんですよ。自分の気持ちが彼女に向けられうのはおかしいと抑えていたんです。たぶん。しかし、幼さが残っていてもいつの間にか大人の女性になっていた彼女を見たとき、何かが変わり始めました。その何かに気がついたのは、他のやつに取られるなんて無理だと思った時にやっとそれが恋心だと、自覚したらいてもたってもいられなくて樹に相談しました」
「樹くんはなんて?」
「海外赴任をする間に、お前が自分でなんとかしろと」
「そんなタイミングで海外赴任?」
「社長が結婚しないなら、海外赴任だとかなんとかまた無茶なことを言い出したらしいです」
「それを逆手に取ったのね。手は貸さないけれど、チャンスはもらった」
「もともと、僕が美波を気に入っていたのは話していたし…」
そこまで聞くと樹さんと要さんの会話を思い出す。
すると私の足はためらうことなく、二人のいる居間へと向かっていった。