幼な妻だって一生懸命なんです!
気まずい空気が二人の間に流れる。
要さんも私も黙ったままだ。
お互い、怒っているとかそう言う雰囲気ではなく何から話していいかわからないと言う雰囲気。
食堂で突然プロポーズされて、食堂に行けなくなった私が公園で昼食をとっていた時、要さんがやって来たのに何も話さない。いつかのあの日を思い出していた。
ほんの数時間前は、あの時「とにかく、あんたと結婚したいんだ」と言った彼の言葉が信じられなくなった。
けれど今はその言葉をどう言う気持ちで言ったのかと考えると、その時の要さんを愛おしく感じた。
「なんで、ちゃんと言ってくれなかったんですか?」
「ああ、色々と考えたら言えなかった」
「ちゃんと話してくれたら、こんな時間はいらなかったのに」
「そうだな」
もう、本当にこの人は、どうしてこうも表向きの顔と違うのだろうか。
このまま彼の胸に飛び込むのは簡単だった。
しかしもう一つ私には気になっていることがあった。
「一ノ瀬由香さんとは?」
「由香に何を言われたんだ」
「由香なんて呼ばないでください」
「あ、うん」
きっぱりと言う私にシュンと項垂れた要さんを見るとこれ以上聞かなくても良いかなと言う気持ちもあるが、あとあとしこりとして残るのも嫌だ。
やっぱりきちんと聞いておきたいし、彼女に言われたことを話しておきたい。
それは要さんを今信じることができているから。
「彼女が連れていたお子さんが、要さんの子のような、そう言うニュアンスで言われたんです」
「なんだそれ!そんな訳あるか!」
急に彼は憤慨して顔を赤くする。
「違うんですか?」
「お前、信じたの?」