花のように。
高校の夏にレストランで接客業しか
アルバイト経験がない私にとって
はじめての事務仕事。
パソコンは学校でも習っていたので、
スムーズに使いこなすことができた。
1番苦手だったのは電話対応だった。
パートということもあり、
職員の方が主に電話にでてくれていた。
電話対応の仕方は
細かく誰かが教えてくれるものでもなく、
私は不安でしかなかった。
顔も見た事がない知らない相手との電話、、
まだわからない仕事内容について聞かれたらと思うと。。
、、ある日、席には私しかおらず
電話がなってしまった。
《プルルルプルルル》
夕方五時過ぎ、、
終業時刻すぎている時間。
、、もう出なくてもいいかな
甘い考えで出らずにいた。
《プルルルプルルル》
「はぁー」
後ろからため息が聞こえてきた。
現れたのは柊さんだった。
スーツの上から作業着をきていた。
担当している建築現場から
帰ってきたところのようだった。
《プルルルプルッ》
柊さんは電話に取ろうとしたが
電話は切れてしまった。
私は恥ずかしさと、
申し訳なさでいっぱいになった。
無言のまま柊さんは自分の席に着いた。
柊さんとは挨拶をする程度で
まだ話したことはなかった。
いつも朝早くから遅くまで残っている。
お客さんがきたときはすぐに立ち上がり
応対していた。
私の中で柊さんという人は
仕事にとても真面目で熱心な人だと思っている。
そんな人から今の私はどう映ったのだろう。
きっと、、
とても泣きたい気分になってしまい。
「お疲れ様でした」
そういいながら
目も合わせられず
逃げるように帰ろとした。
ドアを閉めた遠くから
「お疲れ様」
と声がきこえてきた。