クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました
    

 そうして私は週に何度か部長の家に食事を作りに行くようになった。

 いつも私のほうが早く仕事が終わるから、合いカギを使って部屋に入り食事を作りながら部長の帰りを待つ。

「ただいま」とネクタイをゆるめながら部屋に入ってくる部長を、「おかえりなさい」と出迎える私。

 そんなやりとりをするたびに、なんだか本当の新婚さんみたい!と浮かれてしまう。


   

 私が作った料理をダイニングテーブルに並べ、向かい合って座る。

「いただきます」

 きちんと手を合わせて箸を持つ部長の綺麗な動作に見とれてから、私も「いただきます」と手を合わせた。
 
「お味はどうですか?」

 今日のメニューは厚切りのベーコンと野菜それから豆がたっぷり入ったラタトゥイユにムール貝の白ワイン蒸し、アボカドとサーモンのサラダ。

 そしてお気に入りのパン屋さんで買ってきたおいしいバゲット。



 最初は南部長の食の好みがわからなくて、定番の和食を作っていたけれど、最近は部長に好き嫌いがないとわかったのでいろいろなメニューにチャレンジしている。


      
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