クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました
「そうですね。私はもう大人なのにうちの家族はいまだに過剰なくらい過保護だとは思うんですけど、私が幼いころそれだけ心配をかけてしまったせいなので、感謝しなきゃとも思います」
今ではすっかり健康になったけれど、小さなころはすぐに熱をだし寝込んでばかりいた。
そのたびに父と兄は心配して大騒ぎしたっけ。
食欲のない私のために食べきれないほどのフルーツやおかしを買ってきたり、ベッドに寝たままの私が退屈しないように枕もとで延々と本を読んでくれたり。
そんな幼い時の記憶を思い出して苦笑する私を、部長は柔らかい表情で見ていた。
その視線に気づき、頬が熱くなる。
私は赤くなった頬をごまかすように、逆に質問をしてみる。
「部長のご家族は、どんな方たちなんですか?」
「あー……。まぁ、うちは普通だよ」