クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました
部長は私の問いかけに言葉を濁した。
いつもはっきりと物を言う彼にしては珍しく歯切れが悪い答えに、不安がこみあげてきた。
以前も部長の家族にご挨拶をしたいと言って断られたっけ。
もしかして部長は自分の家族を私に紹介したくない?
出世のために私を利用しようとしているから、愛のない結婚が後ろめたくて家族に会わせたくないのかな。
しょんぼりと肩が落ちそうになって、私は慌てて気を取り直す。
たとえこの結婚の動機が打算だったとしても、部長に私を好きになってもらえればいいんだ。せっかく大好きな人と結婚できるんだから、うじうじするよりも頑張らないと!
『部屋に押しかけて色仕掛けよ!』という千波さんのアドバイスを思い出した。
色仕掛け、頑張りますっ!
心の中でそう宣言して自分を奮い立たせる。