クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました


「前も無断でうちに泊まって心配をかけたばかりだろ」

「門限はありますけど、ちゃんと連絡すれば大丈夫です。だから……」

 必死に言い募る私に、部長は困ったようにため息をついた。

 あ、わがままな私にうんざりしている。
 そう察して悲しみがこみあげる。

「すみません、困らせて……」

 つかんでいた服から手を離すと、部長はこちらに体を向けた。
 そして駄々をこねる子供に言い聞かせるようにゆっくりと口を開く。

「いや、謝らなくていい。俺ももっと一緒にいたいと思ってるよ」

「じゃあ……」

「でも、今日は送っていく」

 きっぱりと言い切られ、これ以上なにを言っても無駄だと悟る。
 私は歯をくいしばり、涙目で部長を見上げた。

「わかりました。今日はちゃんと帰るので、ひとつだけわがままを言っていいですか?」

「なに?」

 首を傾げた部長に、勇気を振り絞ってお願いする。


「キス、してほしいです」 
             


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