クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました
大切な娘に手を出され、相当ご立腹なんだろう。
突然結婚を申し出た俺に不信感を抱くのは仕方がないし、簡単に欲望に流されるような男に遙を任せられないと思うふたりの気持ちもわかる。
交際もせずにいきなり結婚の話を持ち出すなんて、とんでもなく非常識な行為だ。
われながら強引すぎたなと反省している。
だから社長からの『少なくとも三か月は遙に手を出すな。外泊はもちろん禁止、門限を破るようなことがあれば結婚は許さない』という命令を素直に聞き入れた。
『これは遙には言うなよ! 遙に知られて万が一口うるさい父親だって嫌われたら俺は一生南を恨むからな!』
国内有数の大企業の代表である社長が、娘の話となるとまるで小学生のようにむきになる。
それだけ娘を大切に思っているという証だろう。
そんなわけで、俺は遙のかわいらしさと社長との約束の間で板挟みになっていた。
あと二か月半、ちゃんと理性を保てるだろうか。そう不安に思いながら俺は息を吐き気持ちを切り替えると車を発進させた。