クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました
翌週の月曜、出勤するために駅に向かう。
車を持っているけれど、会社は都心にあるため通勤には電車を使っていた。
寝起きの悪い俺が少しぼんやりしながらホームに滑り込んできた車両に入ろうとすると、ガンという音がして前頭部に鈍い痛みが走った。
電車の入り口に頭をぶつけたのだ。
「……っ」
顔をしかめて痛みをこらえながら車両に乗り込む。
俺の身長は平均よりも高い百八十五センチ。
おかげで日本の規格で作られている乗り物や建物は少し窮屈だ。
毎朝乗っている電車でも、気を抜くとすぐにこうやってぶつけてしまう。
満員電車とまではいかないがほどほどに混み合う車両で、吊革につかまり眼下に並ぶ乗客の頭頂部を眺めながらため息をつく。
すると隣にいた若い女性が俺を見上げ「あの、大丈夫でしたか?」と声をかけてきた。