クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました
ようやく冷静になった俺は、肩を上下させて空気を吸い込む。
たのむから軽率に俺の心を乱さないでくれ。と心の中で愚痴をもらす。
「部長、具合が悪そうですけど大丈夫ですか?」
心配そうに眉を下げる遙に、俺は呼吸を整えながら「なんでもない」と首を横に振り必死に平静を装った。
「それよりも、そんな恰好で料理をしていたらあぶないだろう。腕や肩に油がはねるかもしれないのに」
「あ、すみません!」
俺の言葉に、遙は自分の体を見下ろし慌てた様子で謝る。
「ミートソースを作っていたんです。今日は白いカーディガンを着ていたので、はねてシミがついたらいやだなと思って」
遙はソファの上に綺麗にたたんでおいてあるカーディガンを指さした。