クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました
週末、南部長とふたりで買い物に出かけた。
割烹着の購入が一番の目的だったけれど、私が部長の部屋で料理をしやすいように、調理器具や食器を自分の好みで買いそろえたほうがいいだろうと言ってくれたから。
はじめてのデートだと浮かれながら広い商業施設を並んで歩く。
かわいいエプロンやキッチン雑貨が置いてある店舗で割烹着はありますかとたずねると、店員にぽかんとした顔をされた。
それもそうだ。今どき割烹着を着る人なんてほとんどいないだろうから。
あちこち探しつつようやく見つけた売り場でシンプルな白の割烹着を試着してみる。
鏡に映る自分の姿を見て、不安になって部長にたずねた。
「なんだか、料亭のおかみさんみたいじゃないですか?」
割烹着なんて初めて着た。
これは似合っているんだろうか。
鏡の前で腕を上げたり背中を向けたりしていると、部長は小さく笑って頬を緩ませた。