クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました


 十分すぎるほどの食器や調理器具を選び、ついでにお互いの食の好みを話しながら調味料や食材も買ってもらった。
     
 そして私たちは高級ジュエリーショップにいた。

「どんなものをお探しですか?」
 
 声をかけてくれた店員さんに、部長は「婚約指輪を」と答える。
 すると店の奥にあるゆったりとしたソファに案内され、上品な女性スタッフさんが対応してくれた。
  
 親族の集まりや父の仕事関係のパーティーのときは宝石を身に着けるけれど、それは全て父のプレゼントや祖母や母から譲り受けたもので、こうやって自分でお店に並ぶ宝石を目にするのははじめてだ。
  
 かわいらしい六本爪のデザインや、ダイヤが四角くカットされたシャープな印象のもの、アームにまでぎっしりとダイヤが埋め込まれた豪華なリング……。

 私は目の前のテーブルに並んだ豪華な宝石たちに、目をチカチカさせながら息を吐きだす。
 リングの輝きももちろんだけど、ゼロがいくつも並んだお値段にもめまいがしそうだ。
   
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