クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました
翌週、右手の薬指に指輪をつけて出社する。
なにげなく手を動かすときらきらと光るリングが目に入って、そのたびに胸の奥が締め付けられた。
うれしさと恥ずかしさと、そして不安。
そんな複雑な感情を抱えながら午前の仕事をこなし千波さんとランチを食べていると、目ざとい彼女はすぐに指輪に気が付いた。
「もしかしてその指輪、南部長からのプレゼント?」
その問いかけに、私は頬を熱くしながらうなずく。
「すごくかわいい。遙ちゃんらしいデザインだね」
「私が目移りしすぎて迷っていたら、部長が『これが似合いそうだ』って選んでくれたんです」
私が照れながら言うと、千波さんは目を丸くした。
「へぇ。あの部長がこんなにかわいいデザインを選ぶなんて、ちょっと意外」
「あの部長って……。千波さんから見た南部長って、一体どんなイメージなんですか?」
「百戦錬磨のもて男で女に言い寄られるのに慣れているから、釣った魚どころか釣る前の魚にも餌をやらなそうな感じ?」