クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました
「いやじゃなければ、俺のシャツで拭け」
街ゆく人の好奇の視線からかばうように私の顔を自分の胸に押し付け、ぶっきらぼうにそう言った。
そっと頭をなでる優しくて大きな手に、目の前にはたくましい体。
目を閉じると、とくんとくんと脈打つ鼓動が伝わってきた。
部長の胸に抱かれ、いとおしさがこみあげる。
「部長、好きです……」
気付けば勝手に口から想いが漏れていた。
「は……?」
私の言葉を聞いて部長は驚いたように私の肩をつかんだ。
自分の胸から引きはがし、私の顔を見下ろす。
「宮下。何を言ってるんだ」
いつもは自信に満ち凛としている彼が、わずかに眉をひそませ弱った表情をしている。
それがたまらなく魅力的でかっこいい。