クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました

「え……?」と驚きの声をもらし、信じられないという表情で私を見ていた。

「真実を話してもらえないまま、結婚なんてできません」

 そう言ってきびすを返すと、部長が慌ててこちらに手を伸ばす。

 その手が私に触れる前に、はっきりとした口調で言った。

「部長は私が好きだから結婚しようとしたわけじゃないんですよね」

「そんなことはない」

「じゃあ、どうして私に触れようとしないんですか? どうして泊まりたいっていっても、必ず家に送り届けるんですか?」

「それは……」

 私の言葉に部長は視線を落として口ごもる。
 また言葉を濁して本心を語ろうとしない彼に悲しみがこみあげてきた。

「結婚を決めた理由がただの責任感でもなにか打算があったんだとしても、それでもいいと思っていました。これから好きになってもらえるように頑張ろうって思っていました。……私は部長が、大好きだから」
  
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