クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました

 遙の実家につくと、車の音を聞きつけた社長と真一が慌てた様子で玄関から出てきた。

「遙は一緒か?」と問われ、驚きながら首を横に振る。

「まだ帰ってきていないんですか?」

 彼女が俺の家を出たのはもうかなり前なのに。

「なじみの店で飲んでいた久住常務に遙から電話があって、話しがあるっていうから店の場所を教えたらしいんだ」

「久住常務に……」

 俺が例の件を隠したから、常務に話を聞こうとしたのか。
 あのとき正直に話していればと自分の優柔不断さを悔やむ。

「それで今、いくら待っても遙がこないと心配した常務が連絡をしてきた」

 じゃあ遙はいったいどこに。

 すぐに彼女に連絡を取ろうとスマホを取り出すと、ふたりは首を横に振った。

「何度もかけてみたが、つながらない」

 遙になにかあったのかと青ざめる。
          
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