クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました

「だって、遙がいきなり結婚するなんてショックだろ！　可愛い娘を奪われてくやしかったから、南になにか意地悪をしてやりたかったんだ」

「くっだらない！」

「でも、だって……」

「遙はもういい大人なのよ。あなたもいい加減子離れしなさい！」

　母に厳しい声で説教をされた父は、しょんぼりと背中を丸めて黙り込んだ。

「遙も恵介くんも！」

　その激しい剣幕のままこちらを向いた母に、私と部長は思わず「はい！」とそろって返事をする。

「あなたたちが本当に夫婦になりたいなら、もっと腹を割って話しなさい。遙は恵介くんとちゃんと分かり合えるまで、家に帰ることを許しません」

　母の言葉に、父の兄が不満そうに声をあげた。

「それは、遙を南の家に泊まらせるって意味か？　そんなの、絶対にゆるせ……」
「なにか文句でも？」

　不満を言いかけた父と兄は母ににらまれ「ひゅん」と音をたてて小さくなる。