クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました
「部長は長身でかっこよくて、そのうえ空手もできちゃうなんて。兄が、部長は学生時代ものすごくもてまくっていたと言っていましたけど、それも当然ですね」
私が感心していると、部長は整った顔をしかめた。
「俺がもてるっていうのは、周りが勝手に持っているイメージだからな」
「そうなんですか?」
「俺は恋愛が苦手だし、宮下が思っているような遊びなれた大人じゃない」
予想外の言葉に私はぱちぱちと目を瞬かせる。
「正直こんなに女性に夢中になったのは宮下がはじめてだし、些細な出来事に嫉妬して取り乱すのも初めてだし。笑顔を見るだけでうれしくなるのも、抱きしめたくて仕方ないのも、とことん優しく甘やかしてやりたいと思うのも、一生俺の手で幸せにしてやりたいと思うのも……」
熱のこもった口調に、頬が熱くなる。
どうしよう、部長の口からこんなに情熱的な言葉を聞けるなんてものすごくうれしい。
夢をみているみたいだ。
「ぶ、部長。それくらいにしてください……。それ以上言われると、心臓が破裂しちゃいます」
信じられないくらいの幸せに、思わず泣きそうな顔でストップをかける。
半泣きの私とは対照的に、部長はまだ伝えたりないというような不満顔だった。