クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました
ドキドキする心臓を落ち着けようと深呼吸をしながらしばらく冷たいタオルを頬に当ててもらっていると、部長はおもむろに口を開いた。
「宮下に、謝らないといけないことがある」
さっきまでの愛の言葉から一転して深刻な口調になり、私はごくりと息をのんだ。
こんな改まって謝罪をするなんて、いったいなんだろう。
「さっき宮下が部屋に来たときに、隠し事はないかと尋ねてきたよな?」
「あ、それは私が父や常務が対立していると勝手に勘違いして……」
「そのことじゃなく、俺には後ろめたい秘密があったから、あの質問に答えられなかった」
「秘密、ですか……?」
部長の秘密ってなんだろう。
ごくりと息をのむと、部長は覚悟を決めた表情で重たい口を開いた。
「酔った宮下を家に連れて帰ってきた夜、なにもしてないと言ったのは嘘だ」
「え?」