クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました
「宮下が寝ぼけながら苦しそうにしていたから、ボタンをはずしてやろうとして、その、胸に手が触れてしまって」
予想外の告白に私は目を瞬かせる。
部長が寝ている私の胸に触った。
そう理解したとたん、ぼっと音をたてて火が噴きそうなほど頬が熱くなる。
真っ赤になった私がとっさに両腕で自分の胸を隠すと、部長が慌てたように弁解する。
「わざとじゃないんだ。ちょうど宮下が寝返りを打って手のひらに胸が当たってしまって。すぐ手を引き抜けばよかったんだが、あんまり柔らかくて暖かくて触り心地がよかったから手放しがたくて。ついしばらくそのまま十秒……、いや三十秒? もしかしたら一分くらい……」
わざわざ真顔でそんな報告をされ、私の頬はさらに熱くなる。
「わ、わざとじゃないならそんなの、気にしなくていいです!」
「でも、真一に『部長は紳士なんだ』と言い張る宮下を見ていたら、ものすごい罪悪感に襲われて、嘘をついているのが苦しかった。本当はあの夜も手を出したくてしかたなかったのに必死に我慢していただけなんだ。でも正直に話して俺を大人で紳士だと信じている宮下に失望されたらと思うと、なかなか言えなかった。すまない」