クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました

「まだお預けなのか……?」

 苦しそうに言った恵介さんに、私は手のひらを前にだし『待て』のポーズをして口を開く。

「まだひとつ腑に落ちていないことがあります」

「なんだ?」

「恵介さん、自分の家族に私を合わせるのを避けてましたよね? どうしてですか?」

 私の言葉に恵介さんは「ぐっ」と一瞬言葉につまった。
 けれど誤魔化さず、すぐに理由を教えてくれる。

「実はうちの家族もなかなかクセが強いんだ。遙に引かれたくなくて、紹介するのをためらってた」

「そうなんですか?」

「でも、今度ちゃんと紹介する」

 そう約束してくれた恵介さんに、私は『待て』のポーズの手を下ろし「約束ですよ」と念を押す。

 すると待ての解除と同時に恵介さんが私の体を抱き上げた。
 その高さに私は慌てて恵介さんの首にしがみつく。

「じゃあ、今度こそ寝室に行ってもいいか?」

 その質問に私は頬を熱くして、そして彼の首に顔をうずめて「はい」と小さくうなずいた。
           



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