クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました
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その日、私はものすごく緊張しながら恵介さんの運転する車の助手席に乗っていた。
向かう先は恵介さんのご実家。
ようやく今日、恵介さんのご家族に挨拶に行けることになったのだ。
「あらかじめ言っておくけど、うちの家族は少し圧が強いから」
「圧、ですか……?」
どういう意味だろうと思っていると、恵介さんは「まぁ、会えばわかるよ」と言って前を向く。
たどりついたのは都心から少し離れた閑静な住宅街。
その中の一軒を指さして「あそこが実家」と教えてくれる。
指の先に視線を向けると黒っぽい外壁に覆われた四角い形の一軒家があった。
折り目正しく硬派な恵介さんのイメージにぴったりのおうちだ。
恵介さんはここで育ったんだ……。
なんて思いながら車窓をながめていると、恵介さんは慣れた様子で駐車スペースに車を止めた。