クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました

『遙が配属される予定の財務経理部の部長が俺の親友だから、そいつにだけは遙が社長の娘だってことを話しておくからな』

『親友って……』

『南恵介だよ。遙が中学のころ何度かうちに遊びに来てたけど、もう何年も前だし覚えてないか』


 南恵介。

 その名前に、甘酸っぱい初恋の記憶がよみがえり一気に胸がときめいた。

 あの憧れの恵介さんが上司になるなんて!
 むりやり父の会社に入社させられ不満を持っていたのも忘れ、神様ありがとう!と胸の前で両手を握りしめ天を仰ぐ。

 八年前は大学生と中学生だったけれど、今はもう私も成人し立派な大人になった。
 二十二歳の新入社員と二十九歳の上司。
 対等とまでは言えないけれど、学生時代よりはずっと彼に近づけたはずだ。



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