クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました


「では、今日はこれで失礼します」

 立ち上がり部屋を後にする南部長のうしろ姿を、父も兄も放心したまま眺めていた。

 私はあわてて彼の後を追う。
 玄関を出ると部長は車に乗り込むところだった。

「あの、部長! 結婚ってどういうことですか?」

 息を切らしながらたずねると、部長は足を止めこちらを振り返る。

「俺と結婚するのはイヤか?」

「い、イヤなわけがありませんっ!」

 私が全力で否定すると、部長はぷっと小さく噴き出して笑った。

 あ、こんな無防備な表情はじめてみた。
 なんて思って胸がときめく。


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