クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました


 四歳下の妹の花緒里には、中学時代から口を酸っぱくして言われてきた。

『いい? 兄さんは背が高くて無口で不愛想なんだから、小さくてかわいい生き物をじっと見るだけでおびえさせるんだからね! 凝視しちゃだめよ! 相手に恐怖心を与える前にちゃんと目をそらすのよ!』

 たしかに、自分よりも大きな生き物にじっと見られるのは恐怖だろう。

 妹の花緒里も平均より背が高く、冷たそうに見える外見のせいでいつも周りから怖がられ苦労してきたらしい。

 だからいつもはこうやって女の子を凝視したりはしないのに。
 青々とした芝生が美しい庭でしゃがみこみ、真剣な様子で地面を見る彼女の姿から目が離せなくなった。

『遙、どうした?』

『あ、お兄ちゃん、おかえりなさい。四つ葉のクローバーを探してたの』

 真一に声をかけられ、彼女が答えながらこちらに視線を向ける。
 真一の後ろにいる俺を見て一瞬目を丸くしたあと、すぐに柔らかい笑みを浮かべた彼女を見て思った。


 小さい。可愛い。めちゃくちゃなでたい。



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