クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました


 真一の言葉にわれに返った。

 しまった。
 愛想のない俺がこうやってじっと見たら怖がらせてしまう。


『悪い』と俺が目をそらすと、遙は肩をすくませて小さく笑いながら首を横に振った。
 サラサラの髪が太陽の光に透かされて金色に光って見えて、ますますポメラニアンに重なって見えた。

『お前、俺の妹がかわいいからって手を出すなよ』

 真一に忠告され俺は『手を出すわけないだろう』と苦笑いをする。

 七歳も年下の中学生なんて。
 しかもあんなにかわいいポメラニアンみたいな生き物になんて。

 手を出すどころか近づくのさえ気が引ける。
 だって細い腕も華奢な肩も、少しでも触れれば壊してしまいそうだ。

 それから真一の家に遊びに行くようになり、遙とも顔見知りになった。

< 64 / 218 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop