クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました


 俺が家に行くと遙は顔を輝かせて駆け寄り『恵一さん、いらっしゃい!』と歓迎してくれた。

 そのたびに俺はポメラニアンを思い出す。
 人懐っこくていつも笑顔のかわいい子犬。

 遙の姿を見るたびになでまわしたくなる衝動を必死にこらえ、怖がらせないように視線をそらした。

 そうやって何度も顔を合わせるうちに、遙は俺を慕うようになっていた。

『恵介さん、大好きです!』と無邪気に言って笑う。
 きっと彼女にとって俺は、兄がもうひとりできたような感覚だったんだろう。


 遙が俺に『好き』というたびに真一に激しく嫉妬されるのが面倒で、彼女の告白を適当に聞き流しあしらってきた。
 かわいいポメラニアンのような彼女になつかれるのはうれしいけれど、正直七歳も年下の中学生に興味はなかった。


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