クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました


 けれどまた昔のように好意丸出しにされると厄介だなと思う。

 今は上司でもある真一にいちいち嫉妬されるのも面倒だし、ここは職場でほかの社員の目があるのに何度も告白されるのは困る。

 少し憂鬱な気持ちでいた俺は、入社してきた遙を見て驚いた。

 さらさらの髪や白い肌、大きな瞳はそのままだけれど、もう小さなポメラニアンではなかった。
 美しいひとりの大人の女性になっていた。

 俺がおどろき言葉をなくしていると、遙は俺にむかって『はじめまして』とあいさつをした。

 彼女は俺を覚えていない。
 そう知ってひどくショックを受けている自分がいた。

 中学生のときはあんなに俺を慕っていて何度も好きだといってくれたのに、今は覚えてもいないのか。

 また告白をされると厄介だ、なんてうぬぼれていた自分が恥ずかしくなる。
 こんなに綺麗な女性に成長した彼女は、俺への想いなんてとっくに忘れたくさんの恋をしてきたんだろう。


 七歳も下の彼女を恋愛対象として見るはずがないと思っていたのに、まるで自分が振られたようなさみしさを感じた。



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